ごあいさつ

topics 1


細菌性髄膜炎ワクチン(Hib・小児用肺炎球菌)について

(QA)  Hibとは何ですか?

Hibは「ヒブ」と読みます。ヘモフィルス・インフルエンザb型菌(Haemophilus influenzae type b)という細菌の略語で、頭文字をとってHibと記します。
Hib(インフルエンザ菌b型)は細菌で、冬に流行するインフルエンザはウイルスです。
Hibの名前の由来は、ウイルス検査ができなかった頃にインフルエンザの患者さんから見つかり原因菌と考えられたため、この名前がつきました。


@  病気の説明

細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)は時に致死的で、助かっても重い後遺症を残すことがあります。
インフルエンザ菌b型(Hib)による細菌性髄膜炎は、日本で年間500〜600人発症しており、小児期の細菌性髄膜炎の原因菌として常に首位を占めています。
多い年齢は生後4ヶ月頃から2歳までで、4歳を超えると罹患率は減っていきます。
インフルエンザ菌b型(Hib)以外で細菌性髄膜炎の原因になる主な細菌としては、新生児で大腸菌とB群溶連菌、乳児期以降で肺炎球菌があげられます。
肺炎球菌は名前の如く肺炎や急性中耳炎の原因菌として有名ですが、細菌性髄膜炎も日本で年間200人発症しており、その数は Hib より少ないものの、重症率は上回ります。


A  ワクチンの説明

共に不活化ワクチンです。他のワクチンとの同時接種も可能です。
インフルエンザ菌b型(Hib)と小児用肺炎球菌ワクチンは、小児の細菌性髄膜炎の予防を目的として作られ、
日本では有料で接種する任意接種ワクチンとして導入されました。
将来、我が国でも定期接種に組み込まれることが期待されています。

B  効果

定期接種としてインフルエンザ菌b型(Hib)と小児用肺炎球菌ワクチンを接種している海外諸国では、細菌性髄膜炎発症数が導入前より80%も減少しています。

C  接種時期・スケジュール

同時接種が可能です。
各ワクチンを別々に接種すると接種回数が多いため、医療機関に出向く回数が多くなるなどの理由から接種率が下がってしまいます。それを防ぐため外国では数種類のワクチンを同時接種しています。

 例えば4ヶ月の赤ちゃんの場合、DPTとHib・小児用肺炎球菌ワクチンを同じ日に接種することができるので、初回3回+1年後に1回、計4回の受診で3種類のワクチン接種が済みます。
接種スケジュールは初回の接種を始めた年齢により異なります。

2ヵ月 〜7ヵ月未満   3回+1回(1年後・小児用肺炎球菌は60日間以上の間隔)の合計4回
7ヵ月 〜1歳未満    2回+1回(1年後・小児用肺炎球菌は60日間以上の間隔)の合計3回
 1歳 〜4歳      1回のみ
(小児用肺炎球菌は1歳 〜2歳未満:60日間以上の間隔で合計2回 2歳 〜9歳:1回のみ)

(Hibワクチンの仮予約から接種までの流れ)
 各医療機関が販売元の第一三共株式会社「アクトヒブ連絡センター」にHibワクチンの入手希望数をFAXで連絡します。
第一三共株式会社「アクトヒブ連絡センター」が全国から寄せられた入手希望状況を分析、ひと月に提供できるワクチンの本数を決定して医療機関に通知します。
接種できる方に当院より電話でご連絡し、接種日時のご相談をします。
(通常のワクチンと異なり、流通の仕組みがやや複雑です。)

※現在、1ヵ月待ちの状態です。


(小児用肺炎球菌ワクチンの接種までの流れ)
 現在のところ安定供給されています。

D 接種料金

Hibワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンは、共に任意接種のワクチンです。
接種料金は、当院では各1回 8,000円(税込)です。

※10月より名古屋市在住の2歳未満の児は、Hibワクチンのみ1回3,300円で接種可能となります。
また、名古屋市在住の中学1・2年生の女児の子宮頚がんワクチンが無料で接種可能となります。
※8月より名古屋市在住の1歳以上の未就学児の水痘ワクチン(3.800円)おたふくかぜワクチン(3,000円)
事業が開始されました。

詳細は、お電話にてお問い合わせ下さい。



topics 2 ( 9 / 8 現在 )

夏に多い、ヘルパンギーナ・手足口病とびひは減少傾向、(topics 7 を参照)
ウイルス性胃腸炎気管支喘息発作突発性発疹症
散見されます。



       (受付:菅原 敏子さん 作)


topics 3

[小児科診療の予約優先について]

当院では、患者様の待ち時間解消と円滑な診療を考慮して
予約優先を行っております。

(音声電話予約・2008年10月よりWeb予約も導入しました。)

音声予約電話 052−701−1015

Web予約 http://holrsv.com/nagasaka/

ただし、急患の方は予約の方の間で診させて頂いております。

しかし、急患の方の診察や重症の方の処置や二次医療機関
への紹介の準備などで診療時間が遅れているのが現状です。

また混雑のため当日の予約が入らず、予約外の遅い時間でしか
診させて頂くことができない場合もあり、ご迷惑をおかけしております。

今後も当日の予約枠を確保することにより、より急患の方への対応が
スムーズにできるよう努力してまいります。

なお、兄弟・姉妹・お母様の診察も一緒に希望される方は予約の時点で
お伝え下さい。

本年も円滑な診療を目指してスタッフ一同、努力していく所存です。
何卒、ご理解とご協力の程よろしくお願いします。


母乳・思春期外来は、2010年から木曜日の午後2時からとなります。
完全予約制ですので、直接受付へのお電話でのご予約をお願いします。


topics

スタッフ勉強会、日本外来小児科学会報告について
当院の看護師である古川敬子さんの学会報告を抜粋します。

会期:平成20年8月30・31日  会場:名古屋国際会議場

テーマ:外来小児科学のエビデンスを創ろう 
    〜すべてを子どものために〜

エビデンスとは? 研究や実験からわかった情報を基にした
科学的根拠
のことです。

ひとりひとりの患者さんのことを考えた医療を行うための
指針になります。


プレパレーション〜こどもの不安を和らげよう〜
医学生・研修医ネットワーク(こどもどこ)のワークショップ。

ープレパレーションの実際を、事例を使用してグループで検討
参加者:医師・医学生・看護師

・プレパレーションとは?  心の準備ともいいます。

こどもに対するインフォームドコンセント(説明と同意)。
小児看護では、こどもが療養の主体者として積極的に行動でき、
安心した生活が送れるよう支援することを言います。


・実際には? 
@処置の前の説明は大切。こどもだけではなく、保護者の理解
を得ることも大事。⇒こどもや保護者との信頼関係づくり。
これがないと協力することも一緒にがんばることもできません。

保護者の不安を取り除く必要があります。

Aこどもの興味をひく。タイミング場所の選択。⇒プレパレ
ーションから処置までの時間が長すぎて恐怖が増したり、ほかの
こどもがいることで説明に集中できない.ことがないように配慮
します。

Bこどもの理解度を知る。こどもに合わせた内容、ツールの使用。
⇒処置中のこどもの体勢や役割を教えます。選択できないことと
できることを区別することも大切。

処置の説明用の手作り絵本を使用している施設もありました。


こどもと家族の気持ちになって日ごろの業務ができているかどうか、
改めて振り返る
良い機会となりました.。

今後、当院でも取り入れていければと思います。



topics 5

平成20年521  朝日新聞 のびのびクラブ講演

「知っておきたい子どもの病気」
 長坂こどもクリニック 長坂正人

の抜粋を載せます。

―総論:人から人へうつる病気 (感染症) について―

感染する微生物は、主にウイルスと細菌に分類されます。
いわゆる風邪のほとんどはウイルスが原因のため抗生物質が無効です。
抗生物質は細菌感染のみに有効であって、むやみやたらに内服するものでは
ありません。

感染部位は、主に呼吸器(咽頭・気管支・肺など)、消化器(食道・胃腸など)
皮膚に分けられます。

感染経路には、空気感染飛沫感染接触感染経口感染血液感染
媒介動物による感染
考えられます。

空気感染とは、クシャミや咳が乾いて舞い上がった物を吸い込むことで
感染します。

水痘(水ぼうそう)や、麻疹(はしか)が該当します。感染力がとても強く、
広範囲に広がる可能性があり、隔離・マスクの着用が必要です。

飛沫感染とは、クシャミや咳を直接浴びることで感染します。
咽頭扁桃炎、溶連菌感染症や気管支炎、マイコプラズマ肺炎、プール熱、
リンゴ病、インフルエンザ、風疹、おたふくかぜなどが該当します。

病原体は約1mの距離まで飛びますので、患者さんに近づくときはマスクを
着用しましょう。

接触感染とは、病原体を直接または間接的に触ってしまうことにより感染
します。最も多い経路です。

ウイルス性腸炎が代表例で、ヘルペス口内炎や帯状疱疹などが該当します。
マスクを着用し、手をよく洗いましょう。

経口感染とは、汚染された水や食品を口に直接入れることで感染が成立し
ます。
食中毒、かきによるA型肝炎が代表例です。手洗い、食品の衛生管理
が重要です。

血液感染は、病原体が直接血液の中に入ることによって感染します。
エイズ、B型肝炎、C型肝炎が該当します。

媒介動物による感染には、コガタアカイエ蚊による日本脳炎などがあります。

―各論―

生れてはじめて発熱したときによく見られる病気:突発性発疹

突発性発疹は、高熱が
34日続き、熱が下がると全身に赤い発疹が広がり
ます。

高熱のわりに元気がよく、下痢を伴うことがあります。原因はウイルス
なので、特効薬はありません。
そのウイルスも
2種類あることがわかっており、1歳前後と2歳前後の2
かかる可能性があります。

現在、流行している溶連菌感染症伝染性紅斑(リンゴ病)

溶連菌感染症
A群β溶血性連鎖球菌という細菌が飛沫感染でうつり、
発熱・のどの痛み・苺のように赤くブツブツの舌・手足や体の痒みを
伴った赤く細かい発疹などが特徴です。

また、皮膚にも感染し、とびひの原因にもなります。潜伏期間は2日から
4日です。治療としては細菌感染であるため、抗生物質が有効です。
合併症として、感染後1から3週間で急性糸球体腎炎(症状としては、血尿や
むくみなど
)やリウマチ熱(主に関節や心臓の炎症)を起こすことがあります。
これらの合併症を引き起こさないためにも、抗生物質を一定期間しっかり
内服することが必要です。

また、この菌には沢山の異なったタイプがあるため、何度もかかることが
あります。

伝染性紅斑(リンゴ病): 両側の頬が赤くなり、腕や太ももに網目状の赤い
発疹が見られます。顔がリンゴのように赤くなるので、リンゴ病とも呼ばれ
ています。

原因は、ヒトパルボウイルスB19です。ウイルス感染なので抗生剤は無効です。
発疹が出て診断がついた時点では感染力が弱くなっていますので、集団生活
には差しつかえありません。

次に、予防接種が有効な感染症を挙げます。
1歳になったら早めに接種するMRワクチンの麻疹風疹について―

麻疹とは麻疹ウイルスによって引き起こされ、2年前に関東で10代、20
の若者の間で流行がみられ、社会的にも関心が深まりました。

感染力はとても強く、感染してから10日程で発熱、咳、鼻水といった風邪
症状が
2から3日続き、一度熱が下がるものの再び高熱となり、同時に全身
に発疹が出現します。

肺炎、中耳炎を合併し易く、患者1000人に1人の割合で脳炎もみられます
ので要注意です。

ではなぜ10代、20代の人を中心に流行したのか、それはワクチンの接種率
の上昇により自然に感染する人が少なくなっており、それによりウイルス
にさらされる機会が減少、免疫が強化されずに弱まってきている人がいる
ことも要因のひとつと考えられます。

また、この世代の人たちの中には今まで一度もワクチンを受けていない人
がいるのと、ワクチンを
1回接種しても数%程度の人は十分な免疫がつか
ないことが知られており、その様な人たちの間で流行が起きたものと考え
られています。

麻疹ワクチン1度も受けていない方、麻疹にかかっていない方は、重症化
しやすいので、
ワクチンを接種すべきです。
現在、小学校入学前の1年間(幼稚園年長さん)で麻疹・風疹混合ワクチン
(
通称MRワクチン)2期が公費で接種可能です。
そして今年の4月よりMRワクチン3期、4期が5年間限定で開始されました。
中学
1年生と高校3年生相当が接種対象となります。

風疹は、風疹ウイルスの感染により、微熱と共に全身に小さな赤い発疹が
出現、
3日程で消えるので「三日はしか」とも呼ばれています。
また全身のリンパ節が腫れるのも特徴のひとつです。

特効薬はありません。発疹が消えたら、人との接触は可能です。潜伏期間
は、
2から3週間です。

水痘(みずぼうそう)流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) について
共に
1歳過ぎたらワクチンの任意接種が可能であり、接種しておけば、
かかっても軽くすみます。


みずぼうそう
は、水痘ウイルスによる感染症で、発熱と共に痒みを伴う
赤い水疱のような発疹が、お尻やお股、髪の毛の生え際などに出現、全身
に広がります。
全部かさぶたになるまでは、人と接触ができません。
有効な抗ウイルス薬がある数少ない病気のひとつです。
潜伏期間は
2週間です。

おたふくかぜは、耳の下や顎の下にある唾液腺が腫れて、あたかも
「おたふく」のような顔になるためそう呼ばれています。片方だけの
腫れで終わる場合もありますが、ひどく腫れて痛くて物が食べられなく
なることもあります。
特に固いものや、酸っぱいものは痛みが増しますので控えましょう。
腫れがひくまでは、お家でお休みとなります。

ムンプスウイルスの感染によるもので、潜伏期間は1618日です。
合併症として髄膜炎、膵炎、難聴が要注意です。中でも難聴の発生頻度
は、
200600人に1人との報告もあり、回復しないので現在、問題視され
ています。
髄膜炎の症状は発熱、ひどい頭痛、吐き気などで、膵炎はひどい腹痛を
訴えます。
ワクチン接種の重要性が謳われています。

日本脳炎 について―

日本脳炎は大変怖い病気です。

現在、東南アジアを中心に年間3~4万人のかたが日本脳炎でなくなって
います。

患者さんの1/3はなくなり、1/3は後遺症を残し、回復するのは僅か1/3
です。

日本脳炎に感染している豚の血を吸ったコガタアカイエカが人間を刺す
ことにより感染します。

症状の発症する割合は10万人に0.02~0.03人にすぎず、大多数は症状を認め
ません。

(感染者の10005000人に1人が脳炎を発症すると考えられています。)
日本の豚では5080%が、日本脳炎にかかったことがあることが分かって
います。
養豚場のそばの暗く湿ったところ(水田など)は蚊の発生源ですので
要注意です。

わが国では、平成11年から18年までの日本脳炎感染者は45名報告されて
います。
南日本が多いのですが、静岡からも報告があります。
具体的には、現行のワクチン接種、虫よけの薬、東南アジアなど流行地域
へは旅行しない、夏でも長袖・長ズボン(これはナンセンスですが・・)
などでしょうか。



topics 6

平成19620  朝日新聞 のびのびクラブ講演

「夏に多い子どもの病気」 
長坂こどもクリニック 長坂正人

の抜粋を載せます。

―夏に多い感染症について―

@夏にプールでうつることが多いためにプール熱とも言われている
咽頭結膜熱
があります。

5日前後続く高熱、のどの痛み、目の充血、リンパ節の腫れを主体と
するアデノウイルスによる感染症です。

高熱の割りに元気な印象があります。
確定診断は、綿棒で喉のぬぐい液を取り、迅速検査キットで行います。
特効薬はありません。
発熱、のどの痛みなどの主な症状がなくなって2日後までは園・学校は
お休みです。

Aヘルパンギーナという名前を耳にしたことがありませんか?
乳幼児の間で流行する夏かぜの一種で、エンテロウイルス群の感染症です。
症状としましては、2~3日続く高熱と、のどの奥に小さな水ぶくれができて
痛いのが特徴です。

食べたり飲んだりができず、よだれも多くなります。ひどいときは脱水に
なる場合もあります。

特効薬はありません。治療は対症療法のみです。

B手足口病はご存知でしょうか?
夏に流行するエンテロウイルス群の感染症です。
その名のとおり、口の中や手のひらや指、足の裏に小さな水ぶくれがみら
れます。

乳幼児ではお尻や太もも、ひざやひじにも赤いブツブツがができます。
手足の水ぶくれは痛がりませんが、口の中が痛くて食べられなくなることが
あります。

発熱は伴わない場合が多いですが、ときに高熱が出る場合があります。
特別な治療は必要としません。

また夏かぜのウイルスは無菌性髄膜炎の原因となる場合がありますので、
発熱、頭痛、嘔吐を伴う場合は要注意です。後遺症を残すことはほとんど
ありません。

C伝染性軟属腫、通称(水いぼ)は、幼児から小学生に多く、テカテカした
感じの丸く小さな盛り上がりです。

ウイルスによってヒトからヒトに肌を接することになる夏のプールでよく
うつります。

水を介してうつる訳ではありません。
最近では温水プールに通う子が多くなって夏だけではなくなりました。
自然に治りますが、治るまでに半年以上はかかりますので、プールに入る
シーズンは要注意です。

治療としては、ピンセットでの摘除や漢方薬の内服が有効です。
10個以上ある場合は漢方薬の内服などで経過をみますが、プールの季節では
摘除する場合もあります。

D伝染性膿痂疹、通称(とびひ)は、夏に乳幼児、小児に多い病気です。
アトピーなどの湿疹や虫刺されの部位を掻き破ったところに黄色ブドウ球菌
の感染により水ぶくれが生じ、急に増えていきます。

普通は発熱を伴いません。
原因がウイルスではなく細菌感染なので、治療としては抗生物質の内服と
水ぶくれに抗生物質の軟膏を塗るのが有効です。

―ここからは、夏に多い皮膚のトラブルについてです。―

@汗疹、通称(あせも)とは、汗が留まり皮膚に水ぶくれやブツブツを生じる
病気です。

夏の暑い環境の中で汗が続いて出ているために発症します。
アトピー性皮膚炎の悪化因子となります。
また日焼け、絆創膏などの刺激も引きがねとなります。
対処法としましては、まず涼しい環境で通気を良くして汗をかきにくくする
と必ず良くなります。

汗をよく拭き、エアコンを使用し涼しく、入浴、シャワーを行いましょう。
衣服は薄着にし通気を良く、綿製を用いて汗をよく吸うようにしましょう。

A虫刺症、通称(虫刺され)は、まず蚊やノミ、イエダニなど皮膚に虫の
唾液が注入されることによってその唾液に対するアレルギー反応が起こり
痒みや腫れを引き起こす群と、ハチ、アリ、ムカデ、毒グモなど皮膚に
有毒成分が注入されることによって強い刺激反応が起こる群とに分けられ
ます。
症状が軽く、痒みだけの場合は市販の痒み止めや軽いステロイド
外用薬で十分です。
アトピー性皮膚炎の悪化因子となります。

B日焼けも油断大敵です。
オゾン層の破壊により紫外線も昔より強いため、将来を見越した
スキンケア、皮膚がん予防として外出時には日焼け止めクリーム
を塗りましょう。
(子ども用の低刺激性のものもあります。)

―今年も猛暑と言われていますが、次は熱中症についてお話します。―

これまで日射病、熱射病と呼ばれていたものの総称です。
まず、めまい、頭痛、体がだるいなどの症状を訴えたら、涼しいところ
へ移動し、風を送り、水分補給に心掛けます。

回復しない場合やフラフラしたりボーッとしている場合は危険信号、
病院へ連れて行きましょう。

倒れて意識がない場合やけいれんを起こした時は直ちに救急車を呼び
ましょう。

予防としては、真夏日には帽子をかぶり、風通しの良い涼しい服装を
しましょう。

睡眠不足など体調不良の場合は運動を避け、汗で失われた塩分と水分を
補給しましょう。

水分補給としては、経口補水OS-1(500ml)がお勧めです。
また夏かぜの場合も、のどの痛みが強いものが多いため脱水傾向に陥り
易く、有効と思われます。

―また不慮の事故のケースとして―

夏の一大イベントでもある花火による熱傷や、海やプールでの溺水にも
注意が必要です。
貴重な子ども達の体、命を守っていきましょう。



topics 7

 「発熱に対する家庭での対応」についてお答えします。

まず病気の子どもに好ましい室内環境基準は以下のとおりです。

夏季:温度26〜28℃ 湿度55〜65%

冬季:温度19〜24℃ 湿度55〜69%


温度のみでなく湿度管理が重要です。

よくクーラーは使用すべきかとの質問を受けますが、近年の猛暑・熱帯夜
では クーラーは必要不可欠であり、湿度の低下に注意するよう(必要なら
加湿を) お話しております。

次に解熱法ですが、微熱ならシャワーを浴びることでむしろ熱は下がるので
アメリカの小児科医は許可しております。

しかし、十分に体温を温めてかぜを治そうと長湯させる日本の育児文化が
まだあり、完全に熱いお湯に浸かると体温は上昇するため、一般的には
入浴は 控えるよう指導されているのが現状です。

32℃のぬるま湯に浸したタオルで体を拭いてあげると気化熱で体温は下がり
ます。

また、熱の出始めの寒気(悪寒期)は60分ほどですが、その時は夏季は冷や
さず、冬季は暖めます。

体を布団やタオルで覆い、発汗させて解熱させる昔の日本の方法は現代には
適しません。

解熱剤の使用については様々な意見がありますが、むやみには使わず、
38.5℃以上で元気がなく、寝つけない、飲んだり食べたりができないときに
使用すべきです。

あとは水分補給を心掛けてください。

                            (参考:小児内科 Vol .35 )